骨粗しょう症という、主に更年期以降に骨が脆くなる病気があります。この病気がある人は、抜歯などの口腔内の外科処置には注意が必要ということを聞いたことのある方もいらっしゃることでしょう。
今回は骨粗しょう症の方でもインプラントが可能なのか、ということについて見ていきたいと思います。
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骨粗しょう症とは、骨の密度が低くなる、または骨の質が劣化することによって骨がもろく、スカスカになる病気です。骨は常に破壊され、新生されということを繰り返していますが、骨粗しょう症では骨を破壊する細胞の働きの方が強くなってしまいます。
特に女性は、更年期以降になり閉経すると、女性ホルモンの分泌が低下し、それに伴って骨の破壊が加速します。日本では自覚していない人も含めると、1000万人以上の人がかかっていると言われており、そのうちの8割が女性だとされています。
結論から言うと、骨粗しょう症でもインプラントは可能です。ただし、骨粗しょう症の人が歯周病になると、歯の周囲の骨が急速に破壊されてしまい、骨不足となってインプラントが難しくなるケースも出てきます。ですが、だからと言ってインプラントができないわけではありません。
むしろ骨粗しょう症の人ほどインプラントを行った方が将来的に骨の破壊が起こりにくくなる、と言う意見もあります。顎の骨というのは、通常、歯を失うとだんだんと骨が吸収され、痩せていきます。噛む刺激が伝わらなくなると、骨は減ってしまうのです。
ところが、インプラントを埋め込み、噛む力が直接骨に伝わるようになると、骨の吸収を防ぐ効果が期待できます。
骨粗しょう症の治療薬としてビスホスホネート製剤を使用している場合には、インプラント治療を含む外科手術で注意が必要です。ビスホスホネート製剤というのは骨を壊す細胞の働きを抑える薬です。
ところが、骨を壊す細胞というのは、感染予防の役割も担っているので、その働きを抑えてしまうと、細菌感染しやすくなるリスクがあるのです。特に口腔内というのは多くの細菌が生息しているため、感染リスクが高くなります。
ビスホスホネートを服用している方が、抜歯やインプラント等の外科的治療を受けると骨が細菌感染によって壊死してしまうことがあります。そのため、この薬を飲んでいる方には通常このような外科処置は避けます。
骨粗しょう症になると骨の密度が低くなるため、通常よりも骨とインプラントの結合期間が長く必要になります。また、これは全てのケースに対して言えることですが、インプラントが一度骨に固定されたとしても、しっかりとお口のケアをしなければインプラント周囲炎を起こしてインプラントが抜け落ちてしまうことがあるので注意が必要です。
骨粗しょう症の方がインプラントを含む口腔内の外科処置を必要とする場合、骨粗しょう症の治療薬の開始前に外科処置を済ませるか、すでに薬を投与中の場合は担当医と相談の上、ある一定期間服用を中止して外科処置を行うこともあります。ビスホスホネート以外の骨粗しょう症の薬を使っていただくのも一つの選択肢です。
いずれにしても、慎重に対応する必要がありますので、骨粗しょう症の方はまずは状況をよく確認させていただいた上で、インプラント治療の相談をさせていただきます。どうぞ理解のほど、よろしくお願いします。
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