歯周病が歯を失う原因になるだけでなく、体のいろいろな病気を起こす原因になることが近年次々と明らかになってきています。つまりこれは、歯周病対策をしておけばより健やかな人生を送りやすくなるということでもあります。歯周病が関連した命に関わる病気として「誤嚥性肺炎」が挙げられます。誤嚥性肺炎はお口の中にあるものが本来の食道の方に行くのではなく、気管支から肺の方へ誤って行ってしまうことで起こるもので、反射機能の衰えた高齢者に起こることが大半です。誤嚥性肺炎は、要介護のお年寄りの死因の第一位になっています。
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若くて健康な人の場合、 口の中のものが気管に間違って入ってしまっても、反射機能により、咳が出て吐き出されます。でもこの機能が衰えている高齢者では、気管に異物が入りこんでしまい、肺炎を起こすことがたびたびあります。
そしてこの、誤嚥性肺炎を起こす原因として歯周病菌が大きく関わっている、ということが様々な研究により明らかになってきているのです。
肺炎と聞くと、一般的に咳や高熱が続くなどのイメージがありますが、誤嚥性肺炎の場合は、必ずしもそのような症状を出さないこともあります。そのため、なかなか周囲に気付かれないケースも珍しくありません。もし、特に要介護者で、次のような症状がみられる場合、誤嚥性肺炎を疑ってみることも必要です。
・よくむせる
・元気がない
・倦怠感が強い
・喉からゴロゴロ音がする
・食べこぼしが多くなってきた
・食事に時間がかかるようになってきた
誤嚥性肺炎を予防するポイントは2つ、
・歯周病菌を減らすこと
・誤嚥自体を起こりにくくすること
です。
まずは、お口を清潔に保ち、歯周病菌を少なくしておくことが大事です。普段からお口の清掃をこまめに、念入りに行うのに加え、定期的に歯科医院の専門的ケアを受けることで、お口の歯周病菌を大幅に減らすことができるので、誤嚥性肺炎のリスクを下げることにもつながります。ご本人がお口の清掃をうまくできないことも多いので、介護する方が歯科医師や歯科衛生士に正しい口腔ケアの仕方を聞いておくことも大事です。
誤嚥を起こりにくくするためには、食事の内容や仕方を工夫する、口の筋力トレーニングをする、といった方法があります。
1.食事の内容や仕方を工夫する
■とろみをつけたり、ゼリー状にする
液体に近いと、速く喉に流れてしまってむせやすいため、ひとかたまりで飲み込めるようにとろみをつける、ゼリー状にするなど工夫すると良いでしょう。
■小分けにして食べる
一度にたくさん食べようとすると誤嚥や、窒息を起こしやすくなります。少しずつ小分けにして食べるようにしましょう。
■ゆっくり食べる
急いで食べると誤嚥や窒息しやすくなるため、ゆっくり食べるようにしましょう。
■体勢に気をつける
脳梗塞が原因で半身麻痺を起こしている場合、麻痺していない側に体を傾けて食事をする、麻痺している側に首をひねって食事をする、というような工夫をすると良いでしょう。また、食べた後にすぐに横になるのは避け、しばらくは上体を起こしておくことも誤嚥を防ぐのに効果的です。
2.口の筋肉トレーニングをする
衰えてしまった口や舌の筋力を鍛えるのも効果的です。次の方法は身の回りのものを使って簡単にできますので、ぜひ試してみてください。少し疲れたな、というところまで続けるのがコツです。
■口輪筋のトレーニング
ボタンに糸を通したものを使います。唇の力、つまり口輪筋を鍛えることで、口を閉じる力を強化します。ボタンは大体直径2.5センチくらいのもの、糸はデンタルフロスなど切れにくいものを使用してください。
1.ボタンに糸を通し、輪っかを作って、20センチくらい離れたところで結びます。
2.ボタンを唇と歯の間に入れ、しっかりと唇を閉じます。(ボタンを噛まないようにしてください)
3.紐を外側に引っ張り、ボタンが唇から出てこないように唇をしっかり閉じます。
以上のステップを10秒くらいかけてゆっくり行います。1日10回くらいが目安です。
■舌の筋力トレーニング
木べらやスプーンを使ったトレーニングです。木べら(スプーン)で舌を押し、それを舌で押し返すように10秒間くらいかけてゆっくりと行います。いろいろな方向から押して押し返す、ということをちょっと疲れるくらいまで行いましょう。こちらも、1日に10回くらいやってみると良いでしょう。
こういった歯に関するお悩みや治療に関して、堺市北野田駅前のおだデンタルクリニックにお任せください。インプラントや歯周病、歯の予防、お子様の歯の治療や矯正など様々な治療を承っております。歯に関する些細なお悩みでも医師や衛生師にお伝え下さい。