歯に痛みを感じていても歯が原因でない、という場合があります。その中の一つに三叉神経痛があります。患者さんは歯が痛いと思って歯科医院を受診しますが、三叉神経痛の場合、痛いと思われる場所の神経を取っても、歯を抜いても痛みが消えることはありません。
痛みの程度は強く、日常生活にも支障をきたしてしまうため、正しく診断され、的確な治療を行われる必要があります。今回は三叉神経痛によって起こる歯の痛みや治療法についてご紹介します。
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三叉神経というのは、顔面の感覚を支配している神経で、「眼神経」「上顎神経」「下顎神経」から成り立っています。このうちの神経が圧迫されて発作性に激痛を伴うものを三叉神経痛と呼んでいます。主な原因としては、動脈硬化を起こした脳の血管が神経を圧迫している、というようなことが考えられています。
三叉神経痛は、通常、左右どちらか片側に起こります。発作は、食事、歯磨き、会話などといった顔の動きがきっかけとなって起こります。また、トリガーポイントと言って、触れると痛みを起こす場所というのが存在します。発作の起こる場所が歯の近くや顎であるため、歯が痛んでいると錯覚されることが多くあります。
しかし、実際に問題が起こっているのは歯ではないため、歯を削ったり抜いたりしても痛みが消えることはなく、患者さんは長い間苦しんでしまうことも珍しくありません。
60代以降の女性に起こりやすく、あまりの痛みに精神的に疲弊してしまったり、急激に痩せてしまったりする人も多く見られます。
三叉神経痛との鑑別が必要な病気としては、歯髄炎、顎関節症、副鼻腔炎、脳腫瘍、多発性硬化症、帯状疱疹後神経痛、舌咽神経痛といったものがあげられます。
<三叉神経痛の特徴>
・針で刺されたような激しい痛み
・顔面の動きで誘発される
・触ると痛みを起こすトリガーポイントが存在する
・片側にのみ起こる
・発作性に起こり、持続時間は数十秒程度、1日に何度か起こる
・数ヶ月〜数年、痛みがなくなることがあるが、再発する
最初に用いる治療法ですが徐々に効果が減ってくることがあり、その場合に薬の量を増やすと副作用が強く出てきてしまうため、次に挙げる治療法を行うことも多くあります。
痛みを感じる神経をブロックする方法です。ただし、この方法は、ブロックした場所に痺れを起こしてしまうというデメリットがあります。
高線量の放射線を三叉神経に照射することで痛みを緩和させる方法です。線量が多すぎると痺れを起こしやすく、少なすぎると治癒率が低くなることがあります。
痛みの原因となる血管の圧迫を取り除くため、効果が高いのが特徴です。近年では、耳の少し後ろの骨に小さな穴を開け、そこからマイクロスコープにて原因となっている圧迫血管を見つけて、神経に当たらないようにするという「神経血管減圧術」という、負担を抑えた方法もあります。
歯に痛みを感じても、全く歯とは関係ない部分に問題があることもあります。そのため歯が痛い場合でも、無闇に歯を削ったりするのではなく、歯以外の問題も疑って慎重な検査が必要になることもあります。
こういった歯に関するお悩みや治療に関して、堺市北野田駅前のおだデンタルクリニックにお任せください。インプラントや歯周病、歯の予防、お子様の歯の治療や矯正など様々な治療を承っております。歯に関する些細なお悩みでも医師や衛生師にお伝え下さい。