歯はできるだけ残した方がいい?抜いた方がいい場合とは
「なるべく抜かない治療」というのを目にすることがありますが、できるだけ歯を抜きたくないというのは万人の願いなので、抜かないことはとても良いことのように思えます。
ところが、中には、周囲の歯に悪影響を及ぼすような状態になっているにもかかわらず、無理矢理残されているケースというのもあります。
目次
抜歯をした方がいいケース

次のようなケースにおいては、抜歯をすることが強く勧められます。
■重度の歯周病
歯周病が重度の状態になってしまって、歯を支えられないくらい骨がなくなってしまっているケース
■歯根が割れている
歯根が割れているケースでは細菌感染が起こりますので、早めの抜歯が必要です。
■ひどい虫歯
虫歯で歯が大きく崩壊し、骨より下まで虫歯が進んでいる場合、残しておいても治療ができず、噛めない状態が続くため、早めの抜歯が望まれます。
■治療しても治らない根尖病巣
歯根の先端に病巣ができて膿を溜めている場合、根管治療を試みますが、時に治療をしても治らない場合があります。そのような場合にはそれ以上骨が破壊されるのを防ぐためにも抜歯をすることが推奨されます。
悪い歯を無理やり残すとどうなる?

状態の悪い歯を抜かずに残していると、次のようなことが起こるリスクがあります。
■骨が吸収してしまう
重度の歯周病や、歯根の割れた歯を放置していると、その周囲の骨はどんどん溶けてなくなっていきます。そのような状態になると、インプラントや入れ歯で治療をしようとしても治療条件が悪くなり、治療がうまくいかないことがあります。
■周囲の健康な歯も巻き込んでしまう
例えば、重度の歯周病の歯を残していると、周囲の骨がどんどんなくなり、結果的に隣の歯までダメにしてしまうことがあります。
■感染が周囲に広がる
ひどい虫歯を放置してると、細菌が骨や周囲の組織に広がって、骨髄炎や上顎洞炎、蜂窩織炎を起こしたり、血中に細菌が入り込んで命に関わることもあります。
■全身の病気を引き起こす
例えば、ひどい歯周病を放置していると、細菌が血管の中に入り込み、全身に回って様々な病気の原因になることがわかっています。心臓病や、脳梗塞、糖尿病、関節リウマチなどがその例です。また肺に細菌が入ると細菌性肺炎を起こし、高齢者では命に関わることもあります。
歯を無理やり残すことで、周囲の骨がなくなってしまい、後にインプラントをしようとしても骨が足りずに骨を作る手術が必要になったり、もしくはインプラント治療自体が難しくなってしまうこともあります。
そのため、明らかにダメになってしまった歯は、それがわかった時点で早めに抜き、歯を補う治療をしたほうが、お口を快適に保てるだけでなく、お口の全体的な健康を維持することにもつながっていきます。