「ブラッシング時に歯ぐきから血が出る」「歯ぐきが赤く腫れている」などといった症状がある場合、それは歯周病かもしれません。歯周病はむし歯と同じく初期には自覚症状がほとんどない病気であるため、このような症状がある場合には、すでにかなり進行している可能性があります。歯周病は、プラーク(歯垢)に棲む歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こし、次第に歯を支える顎の骨などの歯周組織を破壊してしまう病気です。最終的には、歯が抜け落ちてしまいます。
実は、日本人が歯を失う原因の第1位は、むし歯ではなく歯周病。歯周病によって大切な歯を失ってしまわないように、できるかぎり早期発見・早期治療に努めましょう。
歯周組織は歯肉(歯ぐき)と歯槽骨(歯を支える組織)、歯根(歯の根元)をおおうセメント質、歯根と歯槽骨をつなぐ歯根膜からなり、歯を正しい位置にしっかり付着・固定するための強固な構造を備えています。しかし、歯磨きが不十分で、歯と歯肉の間に細菌が住み着いて歯垢(プラーク)がたまると、そこに炎症が引き起こされます。これが歯周病の始まりです。
「プローブ」というものさし状の器具を用いて、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の深さを調べます。深ければ深いほど、歯周病が進行しています。
ピンセット状の器具で歯をつまんで動かし、グラつき度合いを調べます。グラつきが大きいほど、歯周病が進行しています。
顎の骨の状態をレントゲン撮影にて調べます。歯を支えている骨の状態から歯周病の進行度合を判断します。必要に応じてCT撮影を行う場合もあります。
比較的軽度な症状の歯周病に対して行います。「スケーラー」という器具を使って普段の歯磨きでは取り除けない、歯に付着したプラークや歯石を除去します。
軽度~中等度の歯周炎に対して行う外科的処置です。局所麻酔を行って歯周ポケット内のプラークや歯石、膿、感染した組織を除去します。
中等度以上の進行した歯周炎に対して行う外科的処置です。局所麻酔をした後に歯ぐきを切開して顎の骨からはがし、露出した歯根に付着しているプラークや歯石を除去します。また、感染した組織も取り除きます。
歯周病によって溶けてしまった顎の骨は、自然に再生することはありません。そこで行うのが、組織再生療法。当院ではエムドゲインゲルを使用し、歯周組織の再生を行います。また、患者様自身の骨や人工骨を移植する治療もあります。